今日(精疾)のと未復習 12/17,18,21,22,24,25(精シス、精疾)
【問題】 精神疾患とその治療
2021年01月28日
1 不安障害の症状として、感情失禁が見られる。
2 脳血管性認知症では、強迫的な人格変化を起こすことがある。
3 社会生活技能訓練(SST)は、主として認知症の進行防止に用いられる。
4 家族の感情表出(EE)が高いほど、統合失調症の再発率は高くなる。
5 うつ病治療では、運動の必要性を説明する。
【答え合わせ】 精神疾患とその治療
1 不安障害の症状として、感情失禁が見られる。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
感情失禁は、些細なことで大喜びしたり激怒するなど、感情のコントロールが効かなくなることで、脳血管性認知症に特異的な症状である。
2 脳血管性認知症では、強迫的な人格変化を起こすことがある。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
比較的人格は保たれる。アルツハイマー型認知症では、早期に低下し、抑うつ的、強迫的な人格変化を起こすことがある。
3 社会生活技能訓練(SST)は、主として認知症の進行防止に用いられる。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
社会生活技能訓練(SST)は、対人関係や社会生活上の対応の仕方などの技能の習得を目的としている。
4 家族の感情表出(EE)が高いほど、統合失調症の再発率は高くなる。
あなたの回答『○』
正解
正しい答えは『○』
情緒の巻き込まれや批判的な言動など、家族の感情表出が高い(高EE)ほど、統合失調症の再発率は高くなる。
5 うつ病治療では、運動の必要性を説明する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
原因から離れ、ゆっくりと休養することを伝え、服薬治療をすすめる。
全問正解しました。
それでは未復習の分を解きます。
【問題】 精神障害者の生活支援システム
2020年12月17日
1 就労継続支援事業所は、利用者が就労移行支援にチャレンジするよう促すために、期限を定めた就労機会を提供する。
2 第2号ジョブコーチは、障害者を雇用する企業に雇用される。
3 障害者職業センターの種類として、障害者職業総合センター、地域障害者職業センターの2類型が規定されている。
4 障害者雇用支援センターは、該当する法人の申請により、厚生労働大臣が指定する。
5 障害者職業カウンセラーは、企業に配置されるものである。
【答え合わせ】 精神障害者の生活支援システム
1 就労継続支援事業所は、利用者が就労移行支援にチャレンジするよう促すために、期限を定めた就労機会を提供する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
就労継続支援事業は、A型・B型とも、利用期間の制限はない。
2 第2号ジョブコーチは、障害者を雇用する企業に雇用される。
あなたの回答『×』
不正解
正しい答えは『○』
配置型ジョブコーチは地域障害者職業センターに、第1号ジョブコーチは障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用される。
3 障害者職業センターの種類として、障害者職業総合センター、地域障害者職業センターの2類型が規定されている。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
障害者職業センターの種類として、障害者職業総合センター、地域障害者職業センター、広域障害者職業センターの3類型が規定されている。
4 障害者雇用支援センターは、該当する法人の申請により、厚生労働大臣が指定する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
都道府県知事が指定する。
5 障害者職業カウンセラーは、企業に配置されるものである。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
障害者職業カウンセラーは、地域障害者職業センターに配置されるものである。
【就労支援の機関と専門職】
就職を希望する障害者の求職登録を行い、専門職員及び職業相談員がケースワーク方式により、きめ細かな職業相談から職場定着指導までを行う。
精神障害者雇用トータルサポーター(精神保健福祉士か臨床心理士)、職業促進指導官が配置されている。
高齢・障害・求職者雇用支援機構が各都道府県に1ヶ所ずつ設置運営。
職業カウンセリング、職業評価、準備支援、職場適応援助者支援、精神障害者総合雇用支援など。
精神障害者総合雇用支援の事業は、支援対象者および雇用事業主に対して、精神障害者の雇用促進支援・職場復帰支援・雇用継続支援を、主治医等との連携の下で、総合的に行う。
障害者職業カウンセラー、職場適応援助者(ジョブコーチ)を配置。
(ジョブコーチは地域障害者職業センター所属(配置型)の他に、訪問型(第1号)と企業在籍型(第2号)が存在。
第1号ジョブコーチは障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用される。第2号ジョブコーチは、障害者を雇用する企業に雇用される。)
◉障害者職業総合センター
高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置運営(同機構は他に「広域障害者職業センター」も設置運営)。
障害者のリハビリテーションに関する研究、支援技術の開発、専門的な人材の育成を行う。
◉障害者就業・生活支援センター(障害者雇用促進法)
障害者の職業的自立を実現するため、就業面の支援と生活面の支援を一体的に行うことを目的としている。職業準備訓練や職場実習の斡旋など。
◉就労移行支援(障害者総合支援法)
就労を希望する者のうち、通常の事業所で就労する事が可能と見込まれる65歳未満の障害者に対し、生産活動や職場体験などを通じて就職及びその後の職場定着のために必要な訓練その他の便宜を図る。
職業指導員、生活支援員、就労支援員、サービス管理責任者などが配置。
利用期間は2年(1年更新可能)。
◉就労継続支援(障害者総合支援法)
通常の事業所に雇用される事が困難であり、雇用契約等に基づく就労が可能である65歳未満の者に対し、雇用契約の締結等により就労や生産活動の機会の提供や必要な訓練その他の便宜を図るA型(雇用型)と、雇用契約等に基づく就労が困難である者に対して年齢制限無く行うB型(非雇用型)がある。
職業指導員、生活支援員、サービス管理責任者が配置。
共に利用期間の制限は無し。
◉障害者職業訓練コーディネーター
障害者の態様に応じた多様な委託訓練では、各都道府県に障害者職業訓練コーディネーターを配置し、企業、社会福祉法人、NPO法人、民間教育訓練機関等多様な委託先を開拓し、個々の障害者に対応した委託訓練を大幅に拡充して機動的に実施している。
◉5人以上の障害のある従業員のいる事業所
障害者職業生活相談員を従業員から選任し、職業生活全般における相談・指導を行う義務。(障害者雇用促進法)
【問題】 精神障害者の生活支援システム
2020年12月18日
1 精神保健福祉士が行う就労支援において、初回面接では、クライエントの作業能力・適性を評価する。
2 精神保健福祉士が行う就労支援において、職場探しでは、企業の担当者に対して障害特性の説明は避ける。
3 精神保健福祉士が行う就労支援において、就労訓練では、実際の職場よりも福祉サービス事業所内における作業を重視する。
4 精神保健福祉士が行う就労支援において、職場実習支援では、クライエントと従業員の双方を支援する。
5 精神保健福祉士が行う就労支援において、雇用へと移行した時点でフォローアップを終結する。
【答え合わせ】 精神障害者の生活支援システム
1 精神保健福祉士が行う就労支援において、初回面接では、クライエントの作業能力・適性を評価する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
初回面接では、就労ニーズの把握や動機、希望、生活習慣、家族状況などの情報収集を多面的に行う。
2 精神保健福祉士が行う就労支援において、職場探しでは、企業の担当者に対して障害特性の説明は避ける。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
障害を開示するかどうかは、障害者本人の選択による。
3 精神保健福祉士が行う就労支援において、就労訓練では、実際の職場よりも福祉サービス事業所内における作業を重視する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
実際の職場に支援者が出向いて支援をするほうが効果的である。
4 精神保健福祉士が行う就労支援において、職場実習支援では、クライエントと従業員の双方を支援する。
あなたの回答『○』
正解
正しい答えは『○』
クライエントだけでなく、従業員も支援することが必要である。
5 精神保健福祉士が行う就労支援において、雇用へと移行した時点でフォローアップを終結する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
雇用へと移行しても、定着するとは限らないため、支援を終結させるのではなく、本人の意向・状態を踏まえて、支援の回数を少しずつ減らしていくことが求められる。
【問題】 精神疾患とその治療
2020年12月21日
1 抗うつ薬は、うつ状態が改善すればできるだけ早期に中止する。
2 アルツハイマー型認知症では、強迫的な人格変化を起こすことがある。
3 離人症では解離症状がある。
4 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)はうつ病治療に頻用されるが、パニック障害には三環系抗うつ薬が使われるので用いられない。
5 ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用に高アンモニア血症がある。
【答え合わせ】 精神疾患とその治療
1 抗うつ薬は、うつ状態が改善すればできるだけ早期に中止する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
うつ状態が改善されてもすぐには服薬を中止せず、徐々に薬を減らしていくことが原則である。
2 アルツハイマー型認知症では、強迫的な人格変化を起こすことがある。
あなたの回答『×』
不正解
正しい答えは『○』
アルツハイマー型認知症では、早期に低下し、抑うつ的、強迫的な人格変化を起こすことがある。脳血管性認知症では、比較的人格は保たれる。
【認知症の種類とその特徴】 (『みんなの介護』他、参照)
・初期症状………物忘れ(記憶障害)
・特徴……………見当識障害、物盗られ妄想、徘徊・多動
・進行、経過……記憶障害から見当識障害へとゆっくり進んでいく
・早期に低下し、抑うつ的、強迫的な人格変化を起こすことがある
・病識が早い段階で無くなることが多い
◉脳血管性認知症 約20%
・初期症状………物忘れ(記憶障害)
・特徴……………判断力障害、感情失禁、手足の震えや麻痺
・進行、経過……脳梗塞等が引き金となり、認知機能がまだらに(日内変動も)、段階的に悪化する
・1回のラクナ梗塞発作の予後は一般に良好だが、その多発による多発性脳梗塞はパーキンソン症候群や脳血管性認知症を呈することがある
◉レビー小体型認知症 約4% (男性が約2倍)
・初期症状………幻視、妄想、うつ症状
・特徴……………幻視、誤認妄想、パーキンソン症状
・進行、経過……調子が良い時と悪い時をまだらに繰り返して進行する
◉前頭側頭型認知症 約1% (指定難病)(このうちの約8割がピック病)
・初期症状………感情の麻痺(ぼんやり、身だしなみに無頓着)、常同行動(同じ言動を繰り返す)、罪悪感の低下(万引きや痴漢)
・特徴……………性格の変化、自発性低下
・進行、経過……ゆっくりと年単位で症状が進行する(寝たきりになる)
・若年性認知症の原因にも
〈認知症を伴う疾患〉
◉正常圧水頭症
・髄液が脳室にとどまり周りの脳を圧迫することに繋がる
・頭部CT検査で確認することができる
・髄液シャント術で改善されることが多い
◉梅毒
・認知症、性格変化、進行麻痺
・感染後10~15年を経て発症
3 離人症では解離症状がある。
あなたの回答『○』
不正解
正しい答えは『×』
解離症状とは、健忘やもうろうなどの意識障害を示す。
離人症では自分が自分の心や体から離れていったり、自分を外側から観察しているように感じる(離人感)。
4 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)はうつ病治療に頻用されるが、パニック障害には三環系抗うつ薬が使われるので用いられない。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
SSRIはパニック障害においても治療効果が高いので用いられる。
5 ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用に高アンモニア血症がある。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用には、服用後にもうろう状態が出現したり、ふらつきなどがあげられる。高アンモニア血症は抗てんかん薬の副作用としてみられる。
【薬物療法の種類】
薬物療法における薬物の種類を大きく分類すると、「抗精神病薬」と「気分安定薬」「抗うつ薬」「抗不安薬」に分類することができる。
◎定型抗精神病薬
統合失調症では、脳内の中脳辺縁系におけるドーパミンの過剰な伝達により、幻覚などの精神症状が出現します。定型抗精神病薬は、脳内のドーパミン神経系の伝達を遮断する作用を持っており、ドーパミンの過剰な伝達を防いで、幻覚などの精神症状を改善させる働きがあります。
この定型抗精神病薬には、鎮静効果のあるクロルプロマジン、抗幻覚作用のあるハロペリドール、スルピリドなどがあり、ドーパミン遮断作用により統合失調症の陽性症状に有効です。
◎非定型抗精神病薬
非定型抗精神病薬は、ドーパミンだけでなく、セロトニンやその他の神経伝達物質への作用をもっており、幻覚などの陽性症状に対する効果だけでなく、錐体外路症状などの副作用の発現が少なく、定型抗精神病薬では改善が得られない陰性症状や認知機能障害に対しても効果が得られることがあるといわれています。
この非定型抗精神病薬には、リスペリドン、パリペリドン、オランザピン等があります。
◎抗精神病薬の副作用
⚫︎パーキンソニズム
パーキンソン病と似通った症状です。ただし、パーキンソン病では、症状が徐々に進行するのに対し、抗精神病薬の副作用では、手足の震え、小刻み歩行、無表情な仮面様顔貌、筋強直、歩行障害、姿勢不安定、運動障害などが、薬の使用により速やかに出現することを特徴とします。
⚫︎アカシジア
筋強直による静座不能や、静止不能の状態をいいます。座ったままでいられない、じっとしていられない、下肢がむずむずする、下肢の灼熱感、足踏み、姿勢を絶えず変える、目的のない徘徊などがみられます。また、焦燥や不安といった精神的な動揺を感じたり、眠ることができない等の様々な反応があり、これらによって、自殺企図、衝動的行動につながることがあります。
⚫︎ジストニア
筋肉が異常に緊張してしまう状態で、不随意で持続的な、筋収縮にかかわる運動障害です。口やあご、舌、顔面、頸部、胴体部、手足などが、つっぱる、ねじれるという状態を発現します。瞼の痙攣、眼球の上転、白目の状態になる、ものをうまく飲み込めない、呼吸がしづらい、顔や首が強くこわばる、首が反り返る、舌が出たままになる、ろれつがまわらない、体が傾くなどの症状を呈します。
⚫︎遅発性ジスキネジア
抗精神病薬の長期使用でみられる副作用です。口の周囲の不随運動、頭部、四肢、体幹の筋肉の異常行動を発現します。異常な不随意運動の発現箇所としては、舌、口周辺部、顔面にみられることが多く、顔面口部に、繰り返し唇をすぼめる、とがらせる、舌を左右に揺らす、舌を突き出す、口をモグモグする、歯をくいしばるなどの症状がみられます。また、足が動いてしまって歩きにくい、手に力が入って力が抜けない、足が突っ張って歩きにくいなど、四肢等の異常運動がみられることがあります。
⚫︎漏斗下垂体系での内分泌・代謝系異常
抗精神病薬によって、ドーパミン受容体遮断作用が、漏斗下垂体系に作用すると、プロラクチンの血中濃度が異常高値を示すようになり、高プロラクチン血症が引き起こされることがあります。プロラクチンが多量に分泌されると、脳下垂体からの、乳汁を放出させる刺激ホルモンの分泌が異常に亢進して、乳汁分泌や月経異常をきたします。
⚫︎悪性症候群
抗精神病薬の投与中に、急に投薬を増量したり変更したり中断すると、重篤な副作用が現れることがあります。高熱、発汗、意識のくもり、手足の震えや身体のこわばり、言葉の話しづらさやよだれ、食べ物や水分の飲み込みにくさなどの錐体外路症状や、頻脈や頻呼吸、血圧の急激な上昇など、自律神経系の急激な変動などが複数認められることがあります。
悪性症候群は、急性の多臓器不全など重篤な症状をたどることもありますので、迅速な対応が必要です。
◎炭酸リチウム
中枢神経に作用して、感情の高まりや行動を抑える気分安定作用があるので、躁病や躁うつ病の躁状態、うつ病相の急性期などに使用されます。主な副作用として、手足の震え、のどの渇き、下痢、尿量の減少などがみられます。
炭酸リチウムは、適正な血中濃度が保たれない場合、リチウム中毒症に至る可能性があります。リチウム中毒症では、甲状腺機能低下や腎臓機能障害のおそれがあるため、定期的な血中濃度の検査が必要です。
気分安定作用と抗てんかん作用があり、躁病、躁うつ病の躁状態、てんかん等の治療に用いられます。
主な副作用として、傾眠、ふらつき、吐き気、食欲不振、全身倦怠感などが報告されています。劇症肝炎などの肝障害や、高アンモニア血症を伴う意識障害、血小板減少等によるあざ、急性膵炎、口内のあれなどがみられることもあります。
脳内の神経の過剰な興奮をしずめて気分を安定させ、てんかん発作を抑える作用があるので、躁状態やてんかんの治療に使用します。
主な副作用として、眠気、めまい、ふらつき、けん怠感、疲れやすさ、運動失調、脱力感、発疹、頭痛等がみられます。まれに、再生不良性貧血、無顆粒球症などの血液障害や、皮膚や粘膜の過敏症を出現するスティーヴンス-ジョンソン症候群、肝機能障害などが報告されています。
◉抗うつ薬
うつ病は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンなどが不足してしまうために起こると考えられており、その脳内神経伝達物質の作用を強めるような働きをするのが抗うつ薬です。
◎三環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬の代表的なものに、イミプラミンがあります。三環系抗うつ薬は、モノアミンの再取り込みを阻害することによって、セロトニンやノルアドレナリン等のモノアミンが減少することを抑える働きをします。
このとき、アセチルコリンも阻害してしまう、抗コリン作用があるため、副作用として、口渇や排尿困難、眼圧上昇などが起こりますので、緑内症患者には禁忌とされています。
抗うつ薬としての、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、セロトニンの再取り込み阻害作用だけを持ち、アセチルコリン等は阻害しません。このことによって結果的にセロトニン濃度がある程度高く維持されるので、従来の抗うつ薬でみられた抗コリン作用はほとんどみられません。
投薬の効果は、服用後2週間から3週間を要しますので、効果がみられないからといって勝手に薬の服用をやめたり、症状の強いときだけ頓服のように使用するというような服用方法は、避けなければなりません。
副作用としては、服用初期の吐き気や嘔吐、食欲不振等の消化器症状や、眠気、服用による体重増加や便秘などがあります。眠気に対しては、運転や危険な作業等に注意し、就寝前に服用することが勧められています。
なので、空腹時に服用することをすすめるのは、適切ではありません。
また、服用後初期に、不安、焦燥、パニック発作、不眠、易刺激性、衝動性、躁状態、めまい、ふらつき、性欲低下等の副作用がまれにみられます。これらの、中枢神経を刺激することによる症状を総称して「賦活症候群」、あるいは「初期刺激症状」といいます。
この薬をうつ病患者に処方するときは、いらいらする、攻撃性が増すなどの出現に注意を促し、自殺関連の危険を回避できるようにしておくことが必要です。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、急に服用を中止すると、薬の血中濃度が下がり離脱症状が出現します。断薬時の離脱症状として、めまい、嘔吐、頭痛、知覚異常、不眠、不安、焦燥等などがありますので、薬の服用を中止するときは医師の指示により徐々に減らしていくことが必要です。
◉抗不安薬
抗不安薬は、不安や緊張、焦燥感の改善、催眠作用、筋弛緩、抗けいれん作用、自律神経に対する調整作用等があります。代表的なものにベンゾジアゼピン系抗不安薬があります。中枢神経系を抑制する作用があるため、脳内の活動が落ち着き、心の不安、緊張を和らげることができます。
副作用として、昼間の強い眠気、筋弛緩作用によるふらつき、精神依存性があります。眠気までいかなくても、ぼんやりした感じ、注意散漫、集中力低下などの症状が出る場合もあります。また、運動失調や、ろれつがまわらなくなったりすることもあります。そのほか、脱力感、疲労感、倦怠感なども、薬の服用のはじめによくみられます。
服用後の記憶が障害される「前向性健忘」がみられます。ベンゾジアゼピンは、情動中枢としての海馬に作用して情動性興奮を鎮めるとともに、海馬の記憶機能を抑制し健忘を引き起こすと考えられています。
理性の働きが鈍くなり、怒りやすさ、涙もろさなどがみられ、攻撃性や興奮性が次第に強くなり、年齢不相応な行動をとる「脱抑制」の状態になることが知られています。
短期間の使用では依存性は生まれませんが、長期間の使用が続くと「身体依存性」が形成されてきます。連続して使用した後に急激に中止すると、中止後の初期に「反跳性の不安」(使用前より不安が増強すること)や、不眠、振戦、発汗、せん妄等の「退薬症状」が出現しやすくなります。
【問題】 精神障害者の生活支援システム
2020年12月22日
1 障害者試行雇用(トライアル雇用)事業は、6か月の期間を経過して常用雇用に至らなかった場合は契約期間満了による終了となる。
2 障害者の職業能力開発は、企業や社会福祉法人などに委託して行われることがある。
3 精神障害者総合雇用支援は、職場復帰に向けた精神障害者の同意に基づき、事業主、主治医等の連携によって実施される。
4 職場適応援助者(ジョブコーチ)は、地域障害者職業センターの1号、社会福祉法人等に所属している2号、障害者雇用企業に所属する配置型の3種類がある。
5 就労継続支援事業(B型)は、雇用契約を結んだ上で、事業所内において就労の機会や生産活動の機会を提供したり、就労への移行に向けた支援をする。
【答え合わせ】 精神障害者の生活支援システム
1 障害者試行雇用(トライアル雇用)事業は、6か月の期間を経過して常用雇用に至らなかった場合は契約期間満了による終了となる。
あなたの回答『○』
不正解
正しい答えは『×』
障害者試行雇用(トライアル雇用)事業は、3か月の期間を経過して常用雇用に至らなかった場合は契約期間満了による終了となる。
2 障害者の職業能力開発は、企業や社会福祉法人などに委託して行われることがある。
あなたの回答『○』
正解
正しい答えは『○』
障害者の職業能力開発については、企業、社会福祉法人、NPO法人、民間教育訓練機関等、地域の多様な委託先を活用して職業訓練を実施している。
3 精神障害者総合雇用支援は、職場復帰に向けた精神障害者の同意に基づき、事業主、主治医等の連携によって実施される。
あなたの回答『○』
正解
正しい答えは『○』
精神障害者総合雇用支援は、地域障害者職業センターで行われている。
4 職場適応援助者(ジョブコーチ)は、地域障害者職業センターの1号、社会福祉法人等に所属している2号、障害者雇用企業に所属する配置型の3種類がある。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
職場適応援助者(ジョブコーチ)は、地域障害者職業センターの配置型、社会福祉法人等に所属している1号、障害者雇用企業に所属する2号の3種類がある。
5 就労継続支援事業(B型)は、雇用契約を結んだ上で、事業所内において就労の機会や生産活動の機会を提供したり、就労への移行に向けた支援をする。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
就労継続支援事業(B型)は、通常の事業所で働くことが困難な人であり、また、「雇用契約等に基づく就労が困難」である者に対して、就労の機会や生産活動の機会の提供、知識や能力の向上のための訓練を行う事業となる。
【就労支援の機関と専門職】
高齢・障害・求職者雇用支援機構が各都道府県に1ヶ所ずつ設置運営(同機構は他に「障害者職業総合センター」「広域障害者職業センター」も設置運営)。
職業カウンセリング、職業評価、準備支援、職場適応援助者支援、精神障害者総合雇用支援など。
精神障害者総合雇用支援の事業は、支援対象者および雇用事業主に対して、精神障害者の雇用促進支援・職場復帰支援・雇用継続支援を、主治医等との連携の下で、総合的に行う。
障害者職業カウンセラー、職場適応援助者(ジョブコーチ)を配置。
(ジョブコーチは地域障害者職業センター所属(配置型)の他に、訪問型(第1号)と企業在籍型(第2号)が存在。
第1号ジョブコーチは障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用される。第2号ジョブコーチは、障害者を雇用する企業に雇用される。)
◉就労継続支援(障害者総合支援法)
通常の事業所に雇用される事が困難であり、雇用契約等に基づく就労が可能である65歳未満の者に対し、雇用契約の締結等により就労や生産活動の機会の提供や必要な訓練その他の便宜を図るA型(雇用型)と、雇用契約等に基づく就労が困難である者に対して年齢制限無く行うB型(非雇用型)がある。
職業指導員、生活支援員、サービス管理責任者が配置。
共に利用期間の制限は無し。
【問題】 精神障害者の生活支援システム
2020年12月24日
1 ICFでは、「活動」「参加」を用いることで肯定的側面を強調した。
2 ICFでいう、「機能障害」には身体構造上の問題は含まない。
3 ICFでは、「活動」は「参加」に影響するが逆方向の影響はない。
4 ICFは、人の健康のすべての側面と、安寧のうち健康に関連する構成要素のいくつかを扱うものである。
5 ICFでいう「活動」は、生活・人生場面へのかかわりのことである。
【答え合わせ】 精神障害者の生活支援システム
1 ICFでは、「活動」「参加」を用いることで肯定的側面を強調した。
あなたの回答『○』
正解
正しい答えは『○』
ICIDHはマイナス面を強調した障害の分類であったのに対し、ICFはプラス面を強調している。
2 ICFでいう、「機能障害」には身体構造上の問題は含まない。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
手足の動きや感覚器、精神の働きなどに問題が生じれば「機能障害」となる。
3 ICFでは、「活動」は「参加」に影響するが逆方向の影響はない。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
ICFでは「心身機能・構造」「活動」「参加」が相互に影響しあう「相互作用モデル」として表される。
4 ICFは、人の健康のすべての側面と、安寧のうち健康に関連する構成要素のいくつかを扱うものである。
あなたの回答『×』
不正解
正しい答えは『○』
ICFは障害のある人だけに関するものではなく、全ての人に関する分類である。
5 ICFでいう「活動」は、生活・人生場面へのかかわりのことである。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
ICFでいう「活動」は、課題や行為の個人による遂行のことである。ICFでいう「参加」が、生活・人生場面へのかかわりのことを指す。
【問題】 精神障害者の生活支援システム
2020年12月25日
1 保健所は相談の結果、施設や自助グループ、関係機関への紹介、医学的指導、ケースワーク等を行う。
2 精神保健福祉センターは、精神障害者福祉に関する相談のうち複雑または困難なものを行う。
3 障害者を10人以上雇用する事業所では、「障害者職業生活相談員」の選任を義務づけている。
4 精神保健福祉センターが行う障害福祉サービス事業利用に関する相談は、精神障害者保健福祉手帳の所持が条件である。
5 市町村は、医療保護入院のための移送に関する相談を受け、実施する。
【答え合わせ】 精神障害者の生活支援システム
1 保健所は相談の結果、施設や自助グループ、関係機関への紹介、医学的指導、ケースワーク等を行う。
あなたの回答『○』
正解
正しい答えは『○』
「保健所及び市町村における精神保健福祉業務について」(平成12年3月31日障第251号厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)に、地域精神保健福祉における保健所の役割等が示されている。
2 精神保健福祉センターは、精神障害者福祉に関する相談のうち複雑または困難なものを行う。
あなたの回答『○』
正解
正しい答えは『○』
そのほかに精神保健福祉センターは、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと、精神医療審査会の事務を行うこと等が業務として規定されている。
3 障害者を10人以上雇用する事業所では、「障害者職業生活相談員」の選任を義務づけている。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
障害者を5人以上雇用する事業所では、「障害者職業生活相談員」の選任を義務づけている。
4 精神保健福祉センターが行う障害福祉サービス事業利用に関する相談は、精神障害者保健福祉手帳の所持が条件である。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
障害福祉サービス事業利用に関する相談は、精神障害者保健福祉手帳の所持は必要ない。
5 市町村は、医療保護入院のための移送に関する相談を受け、実施する。
あなたの回答『×』
正解
正しい答えは『×』
医療保護入院等による移送に関しては、都道府県知事が、精神保健指定医の診察結果により、家族等の同意の有無に応じて医療保護入院または応急入院ができるように移送することができると規定されている。市町村の判断ではない。
正答率は26/30でした。