医療業界目指して登販、医療事務、医師事務取った人が精神保健福祉士目指してます。

登録販売者、医療事務、医療事務作業補助の資格を取得しました。現在は精神保健福祉士の勉強をしています。

共通科目、まとめのまとめ。(21.02.04更新)

ここは、これまで問題を解きながらまとめてきたものを随時追加しながらまとめていく場所です。

 

 

《人体の構造と機能及び疾病》

【発達段階】

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《人体の構造と機能及び疾病》

【アルマ・アタ宣言】

  1978年にWHOが採択したアルマ・アタ宣言は、先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。

  人々の健康状態に関して、特に「先進国と発展途上国間にみられる大きな格差」を取り上げ、「人々の健康に関してとりわけ先進国と発展途上国の間に存在する大きな不平等は国内での不平等と同様に、政治的社会的経済的に容認できないものである」「新国際経済秩序に基づいた経済社会開発は、すべての人々の健康を可能な限り達成し、先進国と発展途上国の健康状態の格差を縮小するために基本的な重要なことである」として、先進国と発展途上国間にみられる大きな健康格差の解消を訴えている。

  政府の責任についての言及として、「政府は、国民の健康に責任を負っているが、これは適切な保健及び社会政策の保証があって初めて実現される」「政府、国際機関および世界中の地域社会にとって、今後約20年の主要な社会的目標は、西暦2000年までに、世界中の全ての人に、社会的、経済的に生産的な生活を送ることができるような健康水準を達成することである」として、政府の責任を明記している。

  自己決定権についての言及として、「人々は個人または集団として自らの保健医療の立案と実施に参加する権利と義務を有する。」「自助と自己決定の精神に則り、地域社会の全ての個人や家族の全面的な参加があって、はじめて彼(女)らが広く享受できうるものとなる」として、自己決定権を重視している。

  保健ニーズに対応する第一義的責任について、「地域や後方支援レベルにおいても、保健医療チームとして働くために、地域社会が求める保健ニーズに応えるために、社会的にも技術的にも適格に訓練された保健ワーカー、すなわち、医師、看護婦、助産婦、補助要員、可能であれば地域ワーカーや、必要によっては伝統治療師たちの力を必要とする」としており、個人ではなく、保健医療チームとして取り組むべきことを提示している。

  地域、 国家、 その他の利用可能な資源の活用についての言及としては、「地域、国家、その他の利用可能な資源を最大限利用し、地域社会と地域住民が最大限の自助努力を行い、プライマリ・ヘルスケアの計画、組織化、実施、管理に参加することが重要であり、これを推進する。そして、この目標のために、適切な教育を通じて地域住民がこれに参加する能力を開発する」「すべての政府は、プライマリ・ヘルスケアを、他の部門と協力し、包括的国家保健システムの一部として着手し維持していくために、国家の政策、戦略、および行動計画を作成すべきである」「この目的のために政治的意思を実行し、国内資源を動員し、利用可能な外部資源を合理的に活用することが必要である」として、社会資源の活用に言及している。

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 →「WHOの健康の定義」と「オタワ憲章」は、専門科目《精神保健の課題と支援》のまとめにて。

 

《人体の構造と機能及び疾病》

感染症法】

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《人体の構造と機能及び疾病》

【健康日本21】

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《人体の構造と機能及び疾病》

ICF

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《人体の構造と機能及び疾病》

精神疾患の診断分類】

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《心理学理論と心理的支援》

【オペラント条件付け】

正……刺激提示      強化……行動の増大

負……刺激除去      罰………行動の減少・消失

【レスポンデント条件付け(古典的条件付け)】

刺激提示により反射的な行動が増大すること。


《心理学理論と心理的支援》

【集団に関する心理学用語】

 ・社会的促進……他者の存在によって作業の効率が向上すること。(単純課題や機械的作業)

 ・逆に、複雑課題や未学習課題で集団の方が効率が下がること……社会的抑制

 ・社会的手抜き……集団で作業を行うと「自分一人が手抜きをしてもいいだろう」と個人が考えて集団の作業効率が低下する概念。

 ・集団凝集性……各個人が、自分が属している集団に魅力を感じていること。集団の成員がその集団にとどまりたいと思えるような魅力のこと。

 ・ピグマリオン効果……他者に対する期待が成就されるように機能すること。

 ・同調……集団において多数派の意見や期待に合わせて、個人の意見や行動が変化すること。個人は集団や社会内の多数派の意見や期待に合わせること。

 ・同調ないし同調行動……各個人が、自分が属する集団の大多数と、自分の意見が違う場合に、自分の意見を変えて多数の意見に従うこと。

 ・内集団バイアス(ひいき)……自分が所属する集団の成員のことを、それ以外の集団の成員よりも好意的に評価すること。

 ・社会的ジレンマ……集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで、集団全体にとって不利益な結果となることをいう。

 ・コーシャス・シフト……集団討議することが安全志向を増大させるということである。

 ・逆に、危険性が高くなる……リスキーシフト。

 ・集団極性化……集団討議の結果がより極端になること。上の2つ。

 

《心理学理論と心理的支援》

【類型論と特性論】

 類型論は体格と気質、価値観に基づいた生活様式などの違いでカテゴリー化し、パーソナリティとの関係を見出し、その特性をとらえた理論である。クレッチマーの3類型(分裂気質(細長型)/躁鬱気質(肥満型)/粘着気質(闘士型))や、ユングの2類型(内向性/外向性)など。

 特性論とは、性格の違いは質の差ではなく、性格を構成している特性の量的な差によるものと考える方法。オールポートが辞書を用い人格特性を14に整理したものや、キャッテルが因子分析を用い16に整理したものや、ビッグファイブ(5因子説)がある。

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《心理学理論と心理的支援》

【社会的促進と社会的抑制】

 社会的促進とは、単純課題や機械的作業の場合、1人より集団の方が向上すること。

 社会的抑制とは、複雑課題や未学習課題の場合、集団の方が逆に生産性は低下すること。

 つまり、未学習で複雑な課題では、動因水準が高まるほど行動は抑制され、社会的促進は生じない。

 (動因水準とは人の内的な欲求の強さをいう。)

 

《心理学理論と心理的支援》

心理検査

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《心理学理論と心理的支援》

【記憶の種類】

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《社会理論と社会システム》

【逸脱行動論】

【逸脱行動論】

◉社会解体論

 地域社会にある文化摩擦に着目し、社会解体がその地域の犯罪などを生み出すとみる立場である。

 初期シカゴ学派によって提唱された古典概念で、特にトマスの研究が有名である。

◉社会統制論

 社会統制(人々を社会規範に従わせる働き)の弱体化が犯罪や非行を生むとする見方。ハーシのボンド(地域社会や家族などとの社会的絆)理論など。

◉(社会)緊張理論

 (社会構造的なプレッシャー:社会緊張)

 文化的構造や社会構造が人々に押しつける緊張や欲求不満が犯罪や非行の発生原因とする考え方。

 機能主義的な立場から順機能・逆機能、顕在的機能・潜在的機能といった概念を導入しつつ、逸脱や逸脱行動を説明する立場である。

 マートンは、何らかの社会構造が、特定の圧力を一部の人々に加えて逸脱行動を選択させていると考えた。そして、機能主義的見地から、圧力の発生はその社会の文化的目標と、目標達成に際して利用できる制度的手段との間に矛盾があることで発生すると論じ、その圧力に対する人々の適応パターンを「個人的適応様式の類型論」としてまとめている。その研究は「アノミー理論」とも呼ばれる。

 (アノミー:社会秩序が乱れて混乱、無規制状態・無規範状態になること)

◉文化学習理論

 犯罪や非行などの社会問題は、下位集団文化の中で学習され、その文化を通じて世代から世代へと伝承されていくとみる立場である。

 代表的な研究者としては、サザーランドがあげられる。サザーランドとクレッシーの研究は「分化的接触理論(差異的接触理論)」とも呼ばれる。グレイザーの「分化的同一化理論」やサイクスとマッツアの「ドリフト(漂流)理論」もこの研究の系統である。

◉ラベリング論

 周囲の人々や社会統制機関などが、ある人々の行為やその人々に対してレッテルを貼ることによって、逸脱は作り出されるとみる立場である。

 代表的な研究者であるベッカーは、「社会集団は、これを犯せば逸脱となるような規則をもうけ、それを特定の人々に適用し、彼らにアウトサイダーのレッテルを貼ることによって、逸脱を生み出す」と述べている。

構築主義

 社会問題はある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという考え方。ラベリング論を源流。

◉コンフリクト理論

 資本主義社会における生産関係の矛盾から派生してくるものが社会的逸脱であるとみる立場である。

 マルクス主義や初期シカゴ学派の影響を受け、資本主義の政治経済構造に起因する逸脱行動・疎外現象・人間関係の物象化・失業によって派生する諸問題を扱う。

 (コンフリクト conflict:対立、軋轢、衝突、不一致)

 

《社会理論と社会システム》

【役割◯◯】

役割期待

  個人の行動パターンに対する他者の期待を指し、規範的な意味を持つ。

  ある個人に対し、他者や社会システムから担うように期待されている役割のことである。

  同じ社会の中で、他者の役割期待を察知できるのは、共通の社会規範を内面化しているためである。

◉役割適応

  自分の役割に対する周囲からの役割期待に応えている状態。

  人々が社会システム内で与えられた役割や社会システムが求める役割期待を遂行できているか否かを分析するための概念であり、「自我を内面化する過程」ではない。

◉役割演技

  社会生活において場面ごとに求められる役割期待を本人が適切に理解し、かつ即興的、自発的に演じていくことを意味する。

◉役割葛藤

  個人が複数の役割(役割集合)を担って生活している状態で発生する葛藤状況を説明する概念である。新たな役割を得たり、担う役割が変更されたりする際、外部からの役割期待や役割の内容が役割集合内で矛盾・対立することがある。そして、本人が主体的にそれらの矛盾や対立を解消できない場合に生じる心的葛藤や心理的緊張状態のことを「役割葛藤」と呼ぶ。

◉役割距離

  他者や外部からの役割期待をそのまま遂行せず、信頼関係が壊れない程度にずらして遂行することである。

  ゴッフマン(Goffman,E.)が提唱した概念で、他者や外部からの役割期待をずらして遂行することで、その人の個性や職業人(プロフェッショナル)としての自律性を印象づけたり、社会の期待と自己のニーズとのズレを表現するという効果を生み出す。

◉役割取得

  他者からの期待を認識し、それを自らのうちに取り入れ自分の役割行為を形成すること。期待が地域社会、国民社会、国際社会において一般化されたものを、一般化された他者の期待という。

◉役割形成

  単に役割期待に応えるだけでなく、自分自身で新たな役割を再構成すること。

 

《社会理論と社会システム》

ウェーバーによる社会的行為の4類型】

◉目的合理的行為

  外界の事象や人間の行動に予想をもち、この予想を自分の目的のために条件や手段として利用する行為。

◉価値合理的行為

  ある行動の独自の絶対的価値そのものへの結果を度外視した意識的信仰による行為。

◉伝統的行為

  身についた習慣による行為。

◉感情的行為

  直接の感情や気分による行為。

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現代社会と福祉》

【貧困と人物】

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◉ブース

  1886~1902年ロンドンでの3回の調査により、労働者の3割が貧困線(かろうじて人に頼らなくてよい程度の収入がある状態)以下であり、その原因は不規則・低賃金な雇用、疾病、多子にあるとした。

◉ラウントリー

  1899年ヨーク市で貧困調査をし、栄養学の視点を取り入れ、絶対的貧困としての最低生活費を設定し、総収入が肉体的能率の保持に足りない第一次貧困の状態にある家庭が約10%、単なる肉体的能率を維持するに足る第二次貧困の状態にある家庭が約18%になることを明らかにした。

◉タウンゼント

  1960年代、相対的剥奪指標を用いて相対的貧困を分析した。

  生活資源と生活様式という基本的概念に基づき相対的剥奪(当たり前とされる生活から外れること)という概念を用いて相対的貧困について説明した。この視点から、貧困・低所得者の生活問題の多様性・広汎性・複合性を提示した。

  イギリスでのエイベル-スミスとタウンゼント、アメリカでのハリントン、ガルブレイズの研究は「貧困の再発見」と呼ばれた。

◉リスター

  車輪になぞらえて、経済的貧困と関係的・象徴的側面の関係を論じた。

  貧困には、基本的な身体的ニーズを満たすのに十分な貨幣の欠如である絶対的貧困と、その所属する社会で慣習になっているか広く奨励または是認されている程度の生活をするために必要な資源を欠いている相対的貧困があるとした。

◉ルイス

  貧困の文化。絶対的困窮に置かれた社会集団は貧しさを運命的に受け入れ、抜け出す努力を減じるよう考え行動する。

◉スピッカー

  「貧困」の多様な意味を、「物質的状態」、「経済的境遇」、「社会的地位」の三つの群に整理した。

  「貧困の家族的類似」という図式を用いた。「貧困の家族的類似」図とは、類似している貧困の概念を整理してまとめた図であり、貧困の多様な意味をこの3つの群に分け、その中心に「容認できない困難」(本人も社会も容認できない)をおいている。

◉ポーガム

  社会的降格という概念を用いて現代社会における貧困の特徴を整理した。社会的降格は①脆弱になる、②依存する、③社会的な絆が断絶する、というプロセスとして起こりハンディキャップが蓄積していく、とした。

◉ピケティ

  資産格差は貧困の世代間連鎖をもたらすと論じた。

  ピケティは、世界中で所得と富の分配の不平等化が進んでおり、長期的には資本収益率が経済成長率を超える傾向があることを示した。これが資産格差の原因となり、貧困の世代間連鎖に関係するとして、政府による再分配政策の重要性を強調した。

 

現代社会と福祉》

【福祉元年(1973(昭和48)年)】

⚫︎老人医療費支給制度(老人医療費公費負担制度)で70歳以上と65歳以上の寝たきりの者の医療費を無料に(老人福祉法)。

⚫︎高額医療費制度(健康保険法)。

⚫︎公的年金保険制度に、物価スライド制を導入し、年金給付水準が引き上げられた。

 

 

《地域福祉の理論と方法》

【地域福祉の概念に関する日本の人物】

◉岡村重夫 (福祉コミュニティ・地域主体志向。1980年代:主体論的アプローチ)

  地域住民の地域社会で発生する生活課題について、可能な限りその地域で解決を図ることを目指した。そして、地域住民の主体的で協働的な問題解決プロセスを重視した。

  一般的コミュニティづくりの組織化活動を一般的地域組織化活動と名付け、福祉コミュニティづくりのための組織化活動である福祉組織化活動と区別している。(『地域福祉論』)

  福祉コミュニティを、社会的不利条件をもつ少数者の特殊条件に関心をもち、これらの人々を中心として同一性の感情をもって結ばれる下位集団、と定義。

  コミュニティ・オーガニゼーション(地域組織化活動)とコミュニティケアの統合を試みた。

  法律による社会福祉を強調し、また、法律によらない民間の自発的な社会福祉による社会福祉的活動の存在こそ、社会福祉全体の自己改造の原動力として評価されなければならない、とした。

  社会生活の基本的要求を「生理的要求」と「心理的または人格的要求」としてとらえ、それと社会制度との社会関係を評価、調整、送致、開発、保護する機能をもつものとして、社会福祉をとらえている。

  社会関係の客体的側面だけに着目する一般的な政策だけでは不十分であって、年金など多様な社会制度と個人の間に結ばれる社会関係の主体的側面を問題とする個別化援助の方策がなくてはならないとした。

  地域福祉の3構成要素である「コミュニティケア」「地域組織化」「予防的社会福祉」を提唱し、それにより長期的な社会福祉計画において地域福祉サービスを展開できるとしたことで有名。また福祉国家は選別的処遇ではなく国民すべてを対象とする普遍的処遇に特徴があると述べている。


◉孝橋正一 (政策論)

  社会事業を、社会政策を代替補充するところにある(代替補充性論)とし、資本主義の維持という側面から、賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。


◉木田徹郎

  政策論(孝橋)と技術論(岡村)の理論的統合を目指した。


◉右田紀久惠 (政策制度(自治)志向。1980年代:構造的アプローチ、1990年代:自治型地域福祉論)

  地方自治体における福祉政策の充実や住民自治を基底に据えた自治型地域福祉を重視した。

  福祉ニーズを生活問題としてとらえ、その問題解決に向けた住民の主体的な参加を重視し、地方自治体と住民との協働の必要性についても提起している。

  生活原則・権利原則・住民主体原則の立場から、地域福祉の目的を生活問題の軽減・除去、発生の予防、地域住民の生活権保障と社会的実現とした。

  公私の社会制度・サービス体系を、地域福祉計画・地域組織化・住民運動として概念化した。


◉真田是 (政策制度(自治)志向。1980年代:運動論的アプローチ)

  生活問題とその解決のための政策、そして地域社会の産業構造の変革も視野に入れた生活の共同的維持・再生産の地域的システムを重視した。

  地域における住民運動を地域の福祉力にしていくことを重視し、住民の自治組織が社会福祉に注目することの必要性を提起している。


◉一番ヶ瀬康子 (新政策論、運動論)

  生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなくてはならないとした。

  真田是らと政策論の一面性を批判し、新政策論を提起し、社会福祉運動の役割を重視した(運動論)。


◉三浦文夫 (在宅福祉志向。)

  生活課題を貨幣的ニードと非貨幣的ニードに分類し、後者に対応する在宅福祉サービスを充実することを重視した。

  公的責任による生活保護などの貨幣的ニードの充足、すなわち救貧制度としての社会福祉から、対人サービスや在宅福祉サービスなどの非貨幣的ニードの充足の必要性を指摘した。

  社会福祉の政策対象について、社会福祉の実践では、要援護性が具体的に体現された人間を実践対象とすると考える。社会福祉の政策対象は、要援護性を具体的に体現した人間ではなく、政策的視点からこの要援護性をもつ人間を何らかの形で集合的・範疇的に切り取り、その範囲内での集団を政策対象にするとしている。


◉永田幹夫 (在宅福祉志向。1980年代:資源論的アプローチ)

  在宅福祉サービスを整備することで、社会福祉サービスを必要とする個人や家族の自立を地域社会の場において図ることを重視した。

  地域福祉の具体的展開のために新たなサービス供給体制の創出を図ることを重視した。

  地域福祉の構成要素として、①在宅福祉サービス(対人福祉サービス)、②環境改善サービス(生活・居住条件の改善)、③組織活動(コミュニティワークの方法技術)を示した。

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《地域福祉の理論と方法》

【各社協の法制化】

 都道府県社会福祉協議会は、1951年(昭和26年)に中央社会福祉協議会(現・全国社会福祉協議会)とともに結成され、同年6月に社会福祉事業法(現・社会福祉法)で法制化された。

 1983年に法制化されたのは市区町村社会福祉協議会

 指定都市の区についての条文化は1990(平成2)年。

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《地域福祉の理論と方法》

社会福祉協議会の人員・役員】

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《地域福祉の理論と方法》

【コミュニティ・オーガニゼーション】

地域援助技術・地域組織化活動とも呼ばれる。社会福祉援助技術の中の間接援助技術の方法のひとつ。

この方法は地域社会を対象とし地域で問題に直面している人がおり、その問題がその個人にとどまらず地域全体の問題と考えられる場合、地域共通の問題として地域住民自身が地域ぐるみでその問題を解決することが出来るように援助する方法。

1950年代から理論化や体系化が進められ、この理論化においてM.ロスやJ.ロスマンが有名。

コミュニティーオーガニゼーションの原則は第一に住民参加ということであり、日本における代表的な機関は社会福祉協議会がある。

 

《地域福祉の理論と方法》

【イギリスの主な◯◯報告】

ベヴァリッジ報告 (1942年)

  社会保険と関連サービスに関する報告。

  社会保障計画は社会保険、国民扶助、任意保険という3つで構成される、とした。

  五巨人悪(窮乏、怠惰、疾病、無知、不潔)を、社会的リスクとして想定。

  ナショナルミニマムの所得保障を行う社会保険(均一拠出・均一給付)を中心とする社会保障計画。「ゆりかごから墓場まで」の元。

  国家責任の範囲を最低限度の生活保障に限定した。

◉ヤングハズバンド報告 (1959年)

  ソーシャルワーカーの養成・研修で専門性を高めるよう勧告。

◉シーボーム報告 (1968年)

  分野別にサービスが提供されるのではなく、単一の部局による包括的なアプローチが目指された。

  地方自治体がソーシャルワークに関連した部門を統合すべきであることを勧告した。

  地方自治体におけるパーソナル・ソーシャル・サービスを中心とした組織改革をもたらした。

◉エイブス報告 (1969年)

  社会福祉分野のボランティアの役割に関する報告書である。ボランティアには新しい社会サービスを開発する役割があり、ソーシャルワーカーから押しつけられるものではないとした。

◉バークレイ報告 (1982年)

  コミュニティソーシャルワークを提言。

  コミュニティソーシャルワーカーの任務は社会的ケア活動とカウンセリングとした。

◉グリフィス報告 (1988年)

  コミュニティケアの財政責任とマネジメント責任を地方自治体社会サービス部に位置づけるよう提言。

  社会サービス部が市場原理を導入し、利用者の選択を作り出すことを提言。

  福祉サービスの供給主体を多元化し、民間非営利団体を積極的に活用するよう勧告。

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(1990年はサッチャー政権下。サービスの供給者→条件整備主体へ。)

(1999年ブレア政権下でギデンスが第三の道。他にダイレクトペイメント。)

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《地域福祉の理論と方法》

【セツルメント】

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《福祉行財政と福祉計画》

【国の費用負担】

⚫︎生活保護は4分の3

⚫︎社会福祉制度(老人福祉を除く)は2分の1

⚫︎生活困窮者自立支援制度の必須事業(自立相談支援事業、住居確保給付金)は4分の3

⚫︎私立保育所認定こども園等は公費負担分の2分の1

(⚫︎公立保育所は市町村が全額負担する)

⚫︎障害者総合支援法の市町村が支弁する障害福祉サービス費等は2分の1(100分の50)

(⚫︎老人福祉施設は全て市町村の負担)

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《福祉行財政と福祉計画》

社会保障関係費の内訳(2018,H30)】

 国の一般歳出予算の中で最も多いのが「社会保障関係費」35兆8608億円(56.5%)。

(白書:32.9732兆円)

 その内訳は、①年金給付費34.9%(12兆5232億円)、②医療給付費33.9%、③生活扶助等社会福祉費11.7%、④介護給付費9.4%、⑤少子化対策費8.5%、他、保健衛生対策費、雇用労災対策費等。

 (白書:年金給付費11.6853億円35.4%、医療11.6079億円35.2%)


【目的別歳出の構成比(2018,H30)】

 ❶ 純計 98兆206億:①民生費(26.2%)(25兆6659億)、②教育費(17.2%)、③公債費(12.6%)、④土木費(12.1%)、⑤総務費(9.5%)

 ❸ 都道府県 48兆9573億:①教育費(20.4%)(政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担。)、②その他(18.5%)、③民生費(15.9%)(7兆7927億)、④公債費(13.9%)、⑤土木費(11.3%)、⑥商工費(6.3%)

 ❷ 市町村 57兆9817億:①民生費(36.3%)(21兆756億)(児童福祉、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村)等の社会福祉事務の比重が高い。)、②総務費(12.2%)、③教育費(12.1%)、④土木費(11.2%)、⑤公債費(9.6%)


【民生費の目的別内訳(2018,H30)】

 ❶ 純計 25兆6659億:①児童福祉費(34.0%)(8兆7296億)、②社会福祉費(25.6%)、③老人福祉費(24.3%)、④生活保護費(15.4%)、⑤災害救助費(0.7%)

 ❸ 都道府県 7兆7927億:①老人福祉費(41.4%)(3兆2274億円)、②社会福祉費(30.7%)、③児童福祉費(22.5%)、④生活保護費(3.1%)、⑤災害救助費(2.2%)

 ❷ 市町村 21兆756億:①児童福祉費(38.7%)(8兆1467億円)、②社会福祉費(25.0%)、③老人福祉費(18.2%)、④生活保護費(17.8%)、⑤災害救助費(0.4%)

  老人福祉費は純計と市町村では3位、都道府県では1位。逆に児童福祉費は純計と市町村で1位で、都道府県では3位。

 

【民生費の性質別内訳(2018,H30)】

 純計 25兆6659億:①扶助費 13兆4991億円(52.6%)、②繰出金 5兆1191億円(19.9%)、③補助費等 3兆2646億円(12.7%)、④人件費 1兆8346億円(7.1%)。

 

 

《福祉行財政と福祉計画》

【福祉計画】

◉地域福祉(支援)計画……社会福祉法。努力義務。期間の規定は無いが、概ね5年。

◉次世代育成支援行動計画……次世代育成支援対策推進法。任意。(101人以上の雇用事業主に義務。)5年。

◉子ども・子育て支援事業(支援)計画……子ども・子育て支援法。義務。5年。

◉老人福祉計画……老人福祉法。義務。期間の規定なし。

介護保険事業(支援)計画……介護保険法。義務。3年。

◉障害者計画……障害者基本法。義務。国:障害者基本計画。期間の規定なし。

障害福祉計画……障害者総合支援法。義務。国:厚労大臣が定める基本指針。3年。

◉障害児福祉計画……改正児童福祉法。義務。国:厚労大臣が定める基本指針。3年。

◉医療計画……医療法。都道府県は義務。6年。

◉健康増進計画……健康増進法都道府県は義務、市町村は努力義務。期間の規定なし。

◉医療費適正化計画……高齢者医療確保法。都道府県は義務。6年。

◉(都道府県・市町村)計画……医療介護総合確保推進法。任意。期間の規定なし。

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《福祉行財政と福祉計画》

都道府県は「支援」計画を策定するもの】

 ⚫︎地域福祉支援計画

 ⚫︎介護保険事業支援計画

 ⚫︎子ども・子育て支援事業支援計画

 

《福祉行財政と福祉計画》

【各計画のうち義務でないもの】

◉地域福祉(支援)計画……「努力義務」

次世代育成支援対策推進法による行動計画……「任意」(101人以上の雇用事業主は義務)

◉市町村健康増進計画……「努力義務」(ただし、都道府県は義務)

 

《福祉行財政と福祉計画》

【国の基本指針や基本計画、厚労大臣でないもの →→ 都道府県計画策定・変更時の提出先・公表】

障害者基本法の障害者基本計画……国 →→ 議会に報告。公表義務。

次世代育成支援対策推進法の行動計画策定指針……主務大臣(厚生労働大臣等)

◉子ども・子育て支援法の基本指針……内閣総理大臣 →→ 内閣総理大臣

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《福祉行財政と福祉計画》

【市町村と都道府県の権限・役割】

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(⚫︎「発達障害者支援センター」(発達障害者支援法)は都道府県にも設置義務はない。)

(⚫︎「児童発達支援センター」(児童福祉法都道府県の認可)は2020年度末までに各市町村に1か所以上設置することとなった。)

 

〈市町村(特別区を含む)〉

 ⚫︎介護保険の保険者は市町村及び特別区と位置づけられているが、複数の市町村で組織する広域連合や一部事務組合などの特別地方公共団体も保険者となることができる(介護保険法)。

 ⚫︎障害者総合支援法の規定による介護給付の支給決定を行うのは市町村(特別区を含む)。

 ⚫︎障害者支援施設等に入所させる措置(知的障害者福祉法)。

 ⚫︎特別養護老人ホーム養護老人ホームへの入所等の措置(老人福祉法)。

 ⚫︎家庭的保育事業等の認可にかかる調査審議のため、児童福祉に関する審議会その他の合議制の機関を置くことができる(児童福祉法)。

 ⚫︎厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、児童福祉施設を設置することができる(児童福祉法)。

 ⚫︎居宅における介護等の措置と老人ホームへの入所等の措置に係る費用は、市町村が支弁する(老人福祉法)。

 ⚫︎市町村介護保険事業計画において各年度の地域支援事業に関する見込量の確保のための方策を定めるよう努める(介護保険法)。

 ⚫︎障害児通所給付費の支給。


都道府県〉

 ⚫︎障害児入所施設に入所させる措置や障害児入所給付費の支給。

  その他、児童を小規模住居型児童養育事業を行う者もしくは里親に委託し、又は乳児院児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させる措置(児童福祉法)。

  (障害児入所施設には福祉型と医療型がある。)

 ⚫︎国民健康保険の財政運営の責任主体(2018~)。

 ⚫︎保険者協議会の設置。

 ⚫︎都道府県児童福祉審議会(児童福祉法。地方社会福祉審議会(表)で児童福祉に関する調査審議させるところを除く)設置は義務、また、地方精神保健審議会を置くことができる。

 ⚫︎養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営について、条例で基準を定めなければならない(老人福祉法)。

 ⚫︎政令の定めるところにより、児童福祉施設(幼保連携型認定こども園を除く)を設置しなければならない(児童福祉法)。

 ⚫︎婦人保護施設の措置権者は都道府県知事であり、都道府県の設置する婦人保護施設の設備に要する費用、都道府県の行う収容保護及びこれに伴い必要な事務に要する費用、婦人相談所の行う一時保護に要する費用などを支弁する(売春防止法)。

 ⚫︎都道府県障害福祉計画では、各年度の指定障害者支援施設の必要入所定員総数を定める(障害者総合支援法)。

 ⚫︎DPATの組織(政令指定都市も)


因みに、下記の市は県から権限と財源が委譲される。

中核市〉人口20万人以上

 ⚫︎保健所の設置

 ⚫︎保育所の設置の認可、監督

 ⚫︎特別養護・養護老人ホームの設置の認可、監督

 ⚫︎介護サービス事業者の指定

 ⚫︎身体障害者手帳の交付

 ⚫︎社会福祉審議会の設置・運営

 ⚫︎母子・父子・寡婦福祉資金の貸し付け

 ⚫︎民生委員・児童委員の定数決定、指導訓練  など。


政令指定都市〉人口 50 万以上

 ⚫︎精神障害者保健福祉手帳療育手帳の交付

 ⚫︎DPATの組織

 ⚫︎小中学校教職員の採用、給与の決定     など。

  (その他、中核市の項目。)

 

 

社会保障

国民年金の被保険者】

  (1981年の難民条約の批准に伴う法整備により、国籍要件が削除された。)

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[強制加入]

 ●第一号

  自営業等。20歳以上60歳未満の第二号第三号以外。ただし、被用者年金制度の老齢(退職)年金受給者は適応除外。

 ●第二号

  民間被用者、公務員等。厚生年金被保険者。

 ●第三号

  第二号被保険者の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満。

[任意加入]

 ・日本国内に住所のある60歳以上65歳未満。

 ・日本国内に住所の無い20歳以上65歳未満の日本国民。

 ・日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の者で、被用者年金の老齢(退職)年金受給者。

 ・日本国内に住所のある65歳以上70歳未満の者で、老齢基礎年金の受給権を有しない者(昭和40年4月1日以前に生まれた者に限る)。

 ・日本国籍を有する者であり、かつ日本国内に住所を有しない65歳以上70歳未満の者で、老齢基礎年金の受給権を有しない者(昭和40年4月1日以前に生まれた者に限る)。


社会保障

雇用保険二事業】

雇用保険二事業には、雇用安定事業、能力開発事業があり、その内容は下記の通り。

①雇用安定事業

・事業主に対する助成金

・中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援

・若者や子育て女性に対する就労支援

②能力開発事業

・在職者や離職者に対する訓練

・事業主が行う教育訓練への支援

・ジョブ・カード制度の構築

また、雇用保険二事業の財源は、リストラなどの雇用上の問題が企業行動に起因することが多く、これらの問題を解決することが事業主に利益をもたらすであろうことから、事業主の保険料のみを原資としている。

 

社会保障

社会保障制度審議会勧告】

 1950年の社会保障制度審議会勧告(50年勧告)は、憲法第25条の意義を具体化し、わが国で初めて社会保障の体系づけを行ったもの。

 1995年の勧告では、「安心して暮らせる21世紀の社会」を目指し、給付と負担のバランス、また、公的介護保険制度を提言。

 「医療制度及び老人保健制度を含めた医療保障制度の抜本的な改革を行いつつ、生活の質にも配慮した施策の展開が要請される」と高齢者医療改革について述べてはいるが、後期高齢者医療制度創設の具体的提言までは至っていない。

 社会保障制度審議会(1995年)は、「社会保障体制の再構築(勧告)―安心して暮らせる21世紀の社会をめざして―」を勧告した。「95年勧告」の特徴は、 社会保障推進の原則を、普遍性(全国民に対象化)、公平性(給付と負担の両面での公平)、総合性(保健・医療・福祉の総合化、制度間の連携・調整等)、 権利性・有効性(効率的な資源配分)の4分野で新たに掲げた。さらに、社会保障の財源を、「応益負担」「社会保険方式」とした。具体的には、「介護サー ビスの財源は、主として保険料に依存する公的介護保険を基盤にすべきである」とした。

 

社会保障

【児童手当と児童扶養手当

 児童手当法児童扶養手当法ともに所得による支給制限等はあるが、児童扶養手当を受給していることによって児童手当が支給停止になることはない。

 児童手当の支給対象となる年齢は15歳に到達後の最初の年度末まで。

 児童扶養手当は18歳に到達後の最初の年度末まで、もしくは20歳未満の1・2級の障害をもつ子、である。

 費用負担も異なる。

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社会保障

【健康保険と年金制度の歴史】

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 健康保険法は1922年(大正11年)に制定されたが、翌年9月に発生した関東大震災の復興のため実施は5年延期され、1927年(昭和2年)からの実施であった。その後、1941年(昭和16年)に労働者年金保険法が制定されたが、1944年(昭和19年)に厚生年金保険法に名称変更された。

 1961年(昭和36年)4月の国民年金法の実施により、基本的に20歳以上60歳未満のすべての国民が何らかの公的年金制度に強制加入となる「国民皆年金」が実現した。

 その後、1986年(昭和61年)の年金制度改正によって、国民年金制度がすべての者に共通の「基礎年金制度」として再編成され、厚生年金や共済年金は原則として報酬比例の年金を支給する基礎年金の上乗せ制度へと変更された。

 

社会保障

【保険者】

⚫︎国民年金、厚生年金……国(政府)

⚫︎国民健康保険……………都道府県(財政運営の責任主体(2018~))及び市町村(特別区を含む)「市町村国保

       ……………国民健康保険組合「職域国保

⚫︎健康保険…………………全国健康保険協会協会けんぽ

     …………………健康保険組合

            (全国健康保険協会は主として中小企業の被用者を適用対象とし、健康保険組合には主として大企業の被用者が加入している。)

⚫︎介護保険…………………市町村(特別区を含む)、広域連合、特別地方公共団体

⚫︎労働者災害補償保険労災保険

         ………国(政府)

            (労災保険に関する事務は全国の労働基準監督署が扱う)

⚫︎雇用保険…………………国(政府)

 

社会保障

【平成28(29)年度社会保障費用統計】

⚫︎2016年度(平成28年度)の社会保障財源の構成(構成比)は、社会保険料が約68.9兆円(51.1%(29:50.0%))、公費負担が約47.7兆円(35.4%(35.3%))、他の収入が約18.3兆円(13.6%(14.7%))であり、社会保険料が最も多い。

⚫︎公費負担(35.4%)のうち、国が33兆1906億円(24.6%(29:23.5%))、地方自治体が14兆5575億円(10.8%(11.7%))である。国の方が地方自治体よりも多い。

⚫︎部門別の社会保障給付費の構成比は、「年金」46.5%、「医療」32.8%、「福祉その他」20.6%である。

⚫︎2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は116兆9027億円である。対国内総生産GDP)比では21.68%である。

 

 

《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

障害者スポーツ大会】

パラリンピック

  第2次世界大戦で脊髄損傷者となったイギリスの傷痍軍人に対してリハビリテーションを図るための競技会が、病院で開催されたことがきっかけ。

  1960年ローマよりオリンピック開催地で行われる。

スペシャルオリンピックス

  年間を通じて知的障害のある人たちにさまざまなスポーツトレーニングと競技会を提供する国際的なスポーツ組織(1968年に設立)。4年に1度、夏季・冬季の世界大会を開催している。

デフリンピック

  聴覚障害のある「ろう者」の国際総合競技大会として誕生。参加資格は「補聴器をはずした裸耳状態での聴力損失が55デシベルを超え、各国のろう者スポーツ協会に登録している者」。

◉フェスピック競技大会

  日本の呼び掛けによりフェスピック圏(極東・南太平洋地域)の国々の身体障害者スポ―ツの振興やスポーツを通じての社会参加を重要な目的とし、1975年(昭和50年)から2006年(平成18年)まで9回開催された。現在では「アジアパラ競技大会(アジア地域における障害者スポーツの総合競技大会)」に引き継がれている。

 

《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

【相談支援事業】

 一般相談支援事業は基本相談支援と地域相談支援を行い(指定は都道府県知事)、

 特定相談支援事業は基本相談支援と計画相談支援を行う(指定は市町村長)。

  地域相談支援とは、地域移行支援と地域定着支援を言い、

  計画相談支援とは、サービス利用支援と継続サービス利用支援を言う。

 

《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

【障害認定と法の歴史】

【障害認定と法の歴史】

1947(昭和22)年 児童福祉法

1948年  世界人権宣言  

1949(昭和24)年 身体障害者福祉法     身体障害者手帳

1950(昭和25)年 精神衛生法 

1951(昭和26)年 (身障者手帳)      18歳未満に拡大。級別開始。

1960(昭和35)年 精神薄弱者福祉法

1967(昭和42)年 身障者福祉法 改正    内部障害(心臓、呼吸)対象に。

1967(昭和42)年 児童福祉法 改正      重症心身障害児施設制度化

1973(昭和48)年 心身障害者対策基本法

1973(昭和48)年  (厚生事務次官通知)     療育手帳

1975年  障害者の権利に関する宣言

1984(昭和59)年 (身障者手帳)      膀胱・直腸の機能障害、追加。

1986(昭和61)年 (身障者手帳)      小腸の機能障害、追加。

1987(昭和62)年 精神保健法   

1993(平成5)年   障害者基本法

1995(平成7)年   精神保健福祉法      精神障害者保健福祉手帳

1998(平成10)年 (身障者手帳)      HIVによる免疫機能障害、追加。

1998(平成10)年 知的障害者福祉法

2004(平成16)年 支援費制度         身体・知的・障害児のみ 

2004(平成16)年 発達障害者支援法

2005(平成17)年 障害者自立支援法      3障害一元化

2006年  障害者の権利に関する条約 採択

2010(平成22)年 (身障者手帳)      肝臓機能障害、追加。

2010(平成22)年 障害者自立支援法 改正   発達障害者も対象に

2011(平成23)年 障害者虐待防止法

2011(平成23)年 障害者基本法 改正     精神障害発達障害を含む

                        その他の心身の機能の障害、追加

2012(平成24)年 障害者総合支援法 成立

2013(平成25)年 障害者総合支援法 施行   「難病等」による障害、対象に

2013(平成25)年 障害者差別解消法

2014年  障害者の権利に関する条約 批准

2014(平成26)年 難病の患者に対する医療等に関する法律。

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《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

【各障害の定義】

身体障害者福祉法

 「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた者をいう。

 (ただし身体障害者手帳は児童にも交付される。福祉サービスは障害者総合支援法や児童福祉法等のもとで行われる。)

知的障害者福祉法

 知的障害者定義を設けていない。「社会通念上知的障害者と考えられる者」と解釈されている。

精神保健福祉法

 「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。

発達障害者支援法

 「発達障害」とは、自閉症アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害学習障害注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

 「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち18歳未満の者をいう。

発達障害者には独自の手帳制度は無く、該当する場合は精神保健福祉手帳や療育手帳を持つ。)

障害者基本法

 2011(平成23)年の改正により、3障害のうち、精神障害」に「発達障害」を含み、又、「その他の心身の機能の障害」が加えられた。

 又、障害者を「障害及び社会的障壁(※)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者」と定義。

(※:「社会的障壁」とは、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)

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《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

平成28年生活のしづらさなどに関する調査】

障害者手帳の種類別

  身体障害者手帳が428万7000人、療育手帳が96万2000人、精神障害者保健福祉手帳が84万1000人となっており身体障害者手帳所持者が最も多い。

◉65歳以上の身体障害者手帳所持者

  311万2000人であり全体の72.6%を占めている(2/3を超えている)。

  年齢階級別では「70歳以上」が253万6000人(59.2%)で最も多く、次いで「65歳~69歳」が57万6000人(13.4%)、「60歳~64歳」が33万1000人(7.7%)の順である。

療育手帳所持者数は、前回の調査時(平成23年)よりも増加している

  療育手帳所持者総数は、2011年(平成23年)が62万2000人、2016年(平成28年)が96万2000人であることから増加している。

  今回の調査時の療育手帳所持者総数の内訳としては、重度が37万3000人(38.8%)、その他が55万5000人(57.7%)、不詳が3万4000人(3.5%)である。

精神障害者保健福祉手帳所持者の、最も多い年齢階級

  「40歳~49歳」で17万9000人(21.3%)。次いで多い年齢階級は「70歳以上」が15万5000人(18.4%)、「50歳~59歳」が14万1000人(16.8%)、「30歳~39歳」が11万8000人(14.0%)の順となっている。

身体障害者手帳所持者の、最も多い種類

  障害の種類で最も多いのは「肢体不自由」で193万1000人(45.0%)である。次いで「内部障害」が124万1000人(28.9%)、「障害種別不詳」が46万2000人(10.8%)、「聴覚・言語障害」が34万1000人(8.0%)、「視覚障害」が31万2000人(7.3%)の順となっている。

 

《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

【障害者虐待防止法による自治体のセンター】

障害者虐待防止センターは、市町村に設置される。

障害者権利擁護センターは、都道府県に設置される。

 

《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

【平成29年度障害者虐待対応状況調査】

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⚫︎養護者による虐待が最も多い。

⚫︎養護者による虐待では、被虐待障害者は女性64.1%(1007人)、男性35.9%(563人)と、女性が全体の約6割強を占めている。

 (H30:女性64.8%(1053人)、男性35.2%(573人))

⚫︎障害者福祉施設従事者等による虐待では、被虐待障害者は男性66.1%、女性33.9%。

⚫︎養護者による虐待の種別・類型別(複数回答)では、身体的虐待61.2%(953件)、心理的虐待32.9%(513件)、経済的虐待22.9%(357件)、放棄・放置16.2%(252件)、性的虐待3.7%(58件)の順である。

⚫︎障害者福祉施設従事者等による虐待の種別・類型別(複数回答)では、身体的虐待56.5%、心理的虐待42.2%、性的虐待14.2%、放棄・放置6.9%、経済的虐待5.8%の順である。

⚫︎養護者による虐待では、被虐待障害者の年齢階級別でみると、20~29歳23.2%、40~49歳22.5%、50~59歳19.2%、30~39歳16.7%の順である。

⚫︎障害者福祉施設従事者等による虐待では、被虐待障害者の年齢階級別でみると、30~39歳18.8%(125人)、20~29歳18.5%(123人)、19歳以下17.7%、40~49歳16.7%(111人)の順である。

⚫︎養護者による虐待の虐待者は、父、母、兄弟、夫、姉妹、の順である。

⚫︎障害者福祉施設従事者等による虐待を、施設・事業所の種別による虐待件数の構成割合でみると、障害者支援施設が25.0%(116件)で最も多く、次いで共同生活援助が18.8%(87件)、放課後等デイサービスが12.3%(57件)、生活介護、就労継続支援B型である。職種では、生活支援員、管理者、その他従事者、サービス管理責任者、と続く。

 

《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

【障害者総合支援法における障害福祉サービス(自立支援給付)】

 介護給付は障害支援区分認定が必要、訓練等給付は不要。

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《障害者に対する支援と障害者自立支援制度》

【障害者総合支援法における市町村と都道府県の主な役割】

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低所得者に対する支援と生活保護制度》

介護保険国民年金保険料】

⚫︎介護扶助には、介護保険の保険料は含まれない。

 介護保険の保険料は、生活扶助介護保険料加算において支給される。(免除ではない)

 対象は介護保険の第1号被保険者で普通徴収の者。

 (第1号:65歳以上、第2号:40歳~64歳までの医療保険に加入している者。

  特別徴収:年金からの天引き、普通徴収:納付書で納付。)

⚫︎国民年金保険料は、⑴生活保護の生活扶助⑵障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている人、⑶ハンセン病療養者、は免除


低所得者に対する支援と生活保護制度》

生活保護の実施機関】

  都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長。

  福祉事務所を管理していない町村は、都道府県知事が行う。(ほとんどの町村はこっち)

  申請は市部の住民は市の福祉事務所、町村部の住民は県福祉事務所か町村役場。

  尚、福祉事務所の社会福祉主事は、設置主体の補助機関である(そして、福祉事務所の査察指導員(指導監督を行う所員、スーパーバイザー)と現業員(ケースワーカー)は社会福祉主事でなければならない)。

 

低所得者に対する支援と生活保護制度》

【平成30年医療扶助実態調査】

 一般診療件数の傷病分類別構成割合は、総数では、①その他 40.7%、②循環器系の疾患 22.3%、③筋骨格系及び結合組織の疾患 12.4%、④呼吸器系の疾患 7.5%、 ⑤精神・行動の障害 7.1%。

 入院では①精神・行動の障害 33.7%(R1:33.0%4.5833万件)、②その他 30.2%、③循環器系の疾患15.6%、④呼吸器系の疾患 5.7%、⑤消化器系の疾患 5.6%。

 入院外では①その他 41.5%、②循環器系の疾患 22.8%、③筋骨格系及び結合組織の疾患 13.0%、④呼吸器系の疾患 7.7%、⑤消化器系の疾患 6.0%。

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低所得者に対する支援と生活保護制度》

【福祉事務所、現業員定数】

 福祉事務所には、所長以下、査察指導員(指導監督を行う)、現業員、事務所員を置かなければならず、査察指導員と現業員は社会福祉主事でなければならない。

 福祉事務所における現業を行う所員の定数は、社会福祉法に規定されている。定数は条例で定めることとしたうえで、都道府県、市、町村の設置主体別に、福祉事務行所についての配置基準を、被保護世帯数あたりの標準定数という形で示している。

 市の設置する福祉事務所にあっては、被保護世帯数240以下で3人、80世帯増すごとに1人増やすことが標準とされている。

 都道府県(郡部)福祉事務所では被保護世帯が390以下の時は6人、65世帯増すごとに1人増やす。町村の設置する福祉事務所では被保護世帯160以下で2人、80世帯増すごとに1人増やす。

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低所得者に対する支援と生活保護制度》

【公的扶助の歴史】

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低所得者に対する支援と生活保護制度》

生活保護法の保護施設】

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生活保護法の保護施設は第一種社会福祉事業(医療保護施設は第二種)。

社会福祉法による無料低額宿泊所は第二種社会福祉事業。)


低所得者に対する支援と生活保護制度》

【生活扶助基準の算定方法の変遷】

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低所得者に対する支援と生活保護制度》

生活保護費の動向】

 ⚫︎保護率 1.68%  1か月平均の被保護 ⚫︎人員 212.5万人 ⚫︎世帯 164万

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(保護率とは、「被保護実人数(1か月平均)」÷「総務省推計人口(総人口)」で算出したもの。)

 

低所得者に対する支援と生活保護制度》

生活保護費の不服申立ての流れ】

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《保健医療サービス》

【平成29年度国民医療費】

 ◉平成29年度の国民医療費は43兆710億円、前年度の42兆1,381億円に比べ9,329 億円、2.2%の増加となっている。

 ◉人口一人当たりの国民医療費は33万9,900円、前年度の33万2,000円に比べ 7,900円、2.4%の増加となっている。

 ◉医科診療医療費の割合は71.6%(入院37.6%、入院外33.9%)。

 ◉国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.87%(前年度7.85%)、国民所得(NI)に対する比率は10.66%(同10.77 %)となっている。

 ◉医科診療医療費の傷病分類別の割合は、「循環器系の疾患」が19.7%(6兆771億円)で最も多く、次いで「新生物〈腫瘍〉」が14.2%(4兆3761億円)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」が7.9%(2兆4452億円)、「損傷、中毒及びその他の外因の影響」が7.7%(2兆3814億円)、「呼吸器系の疾患」7.4%(2兆2892億円)となっている。

 ◉国民医療費を年齢階級別にみると、0~14歳5.9%、15~44歳12.2%、45~64歳21.6%、65歳以上は60.3%。そのうち、「75歳以上」は16兆1129億円で、全体の37.4%を占めている。

 ◉人口1人当たり国民医療費をみると、65歳未満18万7000円、65歳以上は73万8300円、75歳以上は92万1500円。

 ◉国民医療費を財源別にみると、事業主及び被保険者による保険料負担は21兆2650億円で、国民医療費全体の49.4%を占めている。公費は16兆5181億円(38.4%)、その他5.3兆円(12.3%)そのうちの患者負担は4.99兆円(11.6%)。

 ◉国民医療費に占める後期高齢者医療費の割合は、2008年度(平成20年度)30.0%、2012年度(平成24年度)32.2%、2016年度(平別28年度)33.6%、2017年度(平成29年度)34.3%であり、年々増加している。

 ◉医療保険等給付分の割合は45.8%、公費負担医療給付の割合は7.4%、後期高齢者医療費の割合は34.3%(上記)、患者等負担分は12.2%。

 

《保健医療サービス》

【診療報酬の改定率】

 診療報酬の改定率は、厚生労働大臣が決定する。

 診療報酬の改定率は、予算編成過程で内閣が決定する。

 診療報酬改定は􏰀、①予算編成過程を通じて内閣が決定した改定率を所与􏰁前提として、②社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において策定された「基本方針」に基づき、③中央社会保険医療協議会において、具体的な診療報酬点数􏰁􏰁􏰁􏰁設定等に係る審議を行い実施されるも􏰁のである。

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《保健医療サービス》

【特定機能病院、地域医療支援病院

◉特定機能病院

 400床以上の病床を有し、かつ高度の医療を提供する病院である。

 ①高度の医療提供、②開発及び評価、③研修を実施する能力を有すること、④医療の高度な安全を確保する能力があり、集中治療室や無菌病室などの高度医療を行う設備を持つ、⑤他の病院又は診療所から紹介された患者に対し、医療を提供することなど。

 厚生労働大臣が個別に承認する。

地域医療支援病院

 ①紹介患者に対する医療の提供(逆紹介含む)、②医療機器の共同利用、③救急医療の提供、④地域の医療従事者に対する研修の実施、など。

 原則として200床以上の病床を有すること。

 地域医療支援病院は、その所在地の都道府県知事が承認するものである。

 

 

《権利擁護と成年後見制度》

【補助・保佐・後見制度の概要】

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※ 民法13条第1項所定の行為とは、以下の行為。

 ①元本の領収またはその利用、②借財または保証、③不動産等の重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為、④訴訟行為、⑤贈与、和解、仲裁合意、⑥相続の承認・放棄、遺産の分割、⑦贈与の申込みの拒絶、遺贈の放棄、負担付贈与の申込みの承諾、負担付遺贈の承認、⑧新築、改築、増築、大修繕、⑨民法第602条に定める期間を超える賃貸借。

◉同意権:

  本人の法律行為に対して保佐人・補助人が同意をすること。判断能力が不十分な本人が、法律行為をするにあたり、了解を得ること。

◉取消権:

  本人が成年後見人等の同意を得ずに行った法律行為は、日常生活に関する行為を除いて、取り消すことができる。

◉代理権:

  本人に代わって代理をすることのできる法律上の地位または資格のこと。

 

《権利擁護と成年後見制度》

【特別代理人

 後見人が、被後見人との間でお互いの利益が相反する行為をするには、監督人が居ない場合、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に申し立てなければならない。

 同様に、被保佐人と保佐人との間で利益が相反する場合は臨時保佐人、補助人の場合は臨時補助人の選任を申し立てる。

 また、監督人が選任されている場合は、利益相反行為を行う際には監督人が被後見人等を代理することになるため、特別代理人等の選任申立てをする必要はない。

 任意後見契約は、その効力が発効される要件として必ず任意後見監督人が選任される。そのため、特別代理人を選任する必要はない。

 

《権利擁護と成年後見制度》

【日常生活自立支援事業の内容と成年後見制度との比較】

日常生活自立支援事業では、福祉サービスの利用援助、苦情解決制度の利用援助、住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約や住民票の届出等の行政手続に関する援助等が行われる。

財産の処分などの支援は行わない。

日常生活自立支援事業の利用契約の締結を、成年後見人、代理権を付与された保佐人・補助人はできる。

実施主体は都道府県・指定都市社会福祉協議会である。一部委託は、市区町村社会福祉協議会社会福祉法人などにできる。

援助は本人の申請に基づき開始され、職権により開始できない。

日常生活自立支援事業の対象者は、認知症高齢者、知的障害者精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な人、事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる人である。

社会福祉法に第二種社会福祉事業として規定されている。また、実施主体が定める利用料を利用者が負担するようになっている。

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《権利擁護と成年後見制度》

成年後見関係事件の概況(平成31年1月~令和元年12月)】

⚫︎成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計で3万5959円である。

⚫︎主な申立ての動機としては、「預貯金等の管理・解約(財産管理処分)」が最も多く、ついで、「身上保護(身上監護)」、介護保険解約。

⚫︎申立人として最も多かったのは、本人の子。次いで市区町村長、本人。

 (市区町村長申立ては増加傾向。)

⚫︎成年後見人等と本人との関係をみると、親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約21.8%となっている。親族のなかでは、子が最も多い(全体の11.5%で4番目)。

 また、親族以外の第三者成年後見人等に選任されたものは全体の約78.2%であり、司法書士が全体の29.5%、弁護士が21.7%、社会福祉士14.4%となっている。

 第三者が親族を上回ったのは2012(平成24)年調査から。

⚫︎鑑定期間として最も多いのは、1か月以内。

⚫︎開始原因は、認知症。(次いで、知的障害、統合失調症。(平成29年))

⚫︎成年後見制度(成年後見・保佐・補助・任意後見)の利用者数は合計で21万290人(前年は20万3551人)である。(平成29年のデータ)